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陥没乳頭の乳頭形成術


陥没乳頭って聞いたことはあるかな?

乳頭部が平坦になっていたり、内側に引き込まれて埋没してしまっている状態のことで、日本では成人女性の1~2割にみられるもの。
案外頻度高いんだよね。

「女医さん希望」でご相談が増えている、
この陥没乳頭の手術について解説します!

手術のご相談はコチラを参照

陥没乳頭の原因と症状


陥没乳頭は先天性(生まれながら)の変形で、両側の場合も片側の場合もあります。

乳頭の中を走る乳管の周囲組織が線維化して硬く縮んでいるため、乳管が短く、乳頭が乳房内の乳腺に引っぱられて陥没しています。

見た目の問題もありますが、乳頭の先がくぼんでいるため垢が溜まりやすく、乳腺炎(特に授乳期)にもなりやすいです。


次の3点で悩んで、皆さん治療を考え始めます。

外観上の問題

デリケートな部分なので、見た目にコンプレックスを持っている女性は多いです。

授乳できない

乳頭の突出がないと、赤ちゃんがおっぱいをうまく吸えません。これから妊娠・出産を考えていて、直接母乳を与えて育てたい…ということで来院される方が最も多いです。

乳腺炎のリスク

乳腺で作られたミルクが硬くなった乳管からうまく外に出なくて、炎症を起こしてしまうもの。
症状としては乳輪の下にしこりのようなものができたり、赤く腫れたり熱を持ったり、痛みを伴います。ひどくなると膿がでたり、発熱や悪寒にも。

陥没乳頭の方だけがなる病気ではありませんが、乳頭が陥没していると清潔を維持するのが難しいため、普通より乳腺炎のリスクが高くなります。

重症度分類と手術法

陥没乳頭は、以下の3段階に分けられます。

陥没乳頭の重症度分類

 GradeⅠ(刺激や手で引き出すと突出)
 GradeⅡ(手で引き出せるが離すと陥没)
 GradeⅢ(手でも引き出せない)

GradeⅠの場合は、吸引器を使った矯正治療やごく軽い手術で改善できますが、GradeⅡ~Ⅲだとこみ入った手術が必要です。

乳頭部を引き出せなかったり、引き出しても戻ってしまうGradeⅡ~Ⅲでは、乳管周囲の組織が硬く縮んでいるためです。

将来授乳を希望している場合、乳管を温存しつつ形を整えなくてはなりません。乳管周囲の硬い瘢痕を取り除く一方で、その内側にある乳管はできるだけ無傷のまま伸ばして残したいわけです。

この操作がどれくらい必要かによって、術式を決めていきます。

酒井Ⅱ法

田路がご相談を受けている患者さんの多くはGradeⅢ(真性)なので、ほとんどの方に酒井Ⅱ法に準じた手術をしています。(他には難波法ティモリアン法など、軽い症例向き)

「美容外科基本手技」(酒井成身著)より抜粋改変


局所麻酔で、酒井Ⅱ法では片側1時間くらい。局所麻酔の注射は痛いですが、それが終われば手術中は寝てしまう方も!

傷痕については、乳輪乳頭部はかなりきれいに馴染んでしまいますので、あまり心配しなくても大丈夫です。

手術後の経過

数日~1週間程度は乳頭のてっぺんに通した糸を、乳頭周囲を保護するパッドと一緒に固定して、形を整えるのに使います。1週間目までにこの「つり糸」は抜糸します。

その後、全ての抜糸が終わるまで約2週間。内出血もこの頃には目立たなくなっています。この辺りまでは、軟らかめのブラを着けてもらう方がベター。

保護パッドの使用は患者さんの組織の柔らかさや形態改善の程度によって、2カ月~最大半年とさまざま。

また、手術した部分はしばらく硬くて血流も不安定なので、実際の授乳までは手術後半年以上あけてね!

術後の問題点

術後の合併症はあまり起きませんが、いくつか注意したいものがあります。

痛み・内出血
多少の痛み・内出血はあります。痛みはおおむね1週間以内に気にならなくなり、内出血は2週間くらいで吸収されていきます。

感染・乳頭の部分壊死
普通はまず起きないですが、もともと手術部位に軽い感染があったり、免疫が弱かったり、内出血が多かったりすると、創部感染や作成した乳頭の部分壊死が起きる可能性があります。

突出が不十分・陥没の再発
乳管の温存を優先すると、どうしても硬い瘢痕組織を取り除ききれずに、乳頭の高さが不足することがあります。

また、乳頭部を底支えしている皮弁がちぎれたり、糸が切れたりして、手術終了時に形がよくても後に陥没が再発することが。

経過をみて、再手術の希望があれば、傷が柔らかくなり血流が安定する6カ月後以降に行います。

次のページは実際の手術写真!
苦手な方はココまでね~💦

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