- Tue, 12 Sep 2023 -
1 グラナダの朝
2 イスラム王朝の栄華アルハンブラ
2.1 カルロス5世宮殿
2.2 赤い要塞アルカサバ
2.3 ナスル宮に魅せられて
2.4 水の宮殿ヘネラリフェ
3 シエスタの過ごし方
3.1 暑さを癒すモロッコ料理
3.2 プールでのんびり
4 フラメンコショー at Zoraya
グラナダの朝
楽しみにしていたことのひとつが、アルハンブラを眺めながらのベランダの朝食。パジャマ代わりの甚兵衛も不思議と馴染んでる😆
朝陽さす景色を眺めて、ゆっくりとカフェオレを。
Casa Bomboでの滞在は、お出かけの度に坂道の上り下りが大変だけれど、アルバイシンの生活を肌身で感じられる。
グラナダ2日目は、宮殿をたっぷり楽しむよー!
昨夜、重いお腹で唸りながら上ってきた坂。グラナダは湿度も気温も高めで、残暑の今は朝晩涼しいけれど日中は連日33~34℃。ぼちぼち気温も上がり始めて、細道のおかげでできる日陰が有り難い💦
アルバイシンからは、宮殿北側の遊歩道パセオ・デ・ロス・トゥリステス Paseo de los Tristes からもアルハンブラにアクセスできるけど、アンドレアいわく「そっちは帰りならオススメ」と・・・。急な上り坂なのかな?
おとなしく、メジャーなヌエバ広場経由ルートで行くことにした。
ヌエバ広場からゴメレス坂を上っていくと現れる、16世紀に造られたザクロ門 Puerta de las Granadas。宮殿への序章の始まりだね。
このてっぺんにも神聖ローマ皇帝カール5世(=カルロス1世)を象徴する双頭の鷲と王冠、さらに上に割れた立派なザクロが施されている。
うわ~、生い茂る緑・緑・緑! 豊富な水と日光で木々がよく育ってるよね。
ここからアルハンブラまでは真ん中が舗装路、左右に土や草で覆われたゆるい坂の遊歩道。森林浴しながら真ん中の道を歩いてくと・・・あっ!!
Ho~la~! Cristiano!!
欧米からの観光客の一団を率いるクリスティアーノに遭遇!
昨晩遅くまで坂道上り下りのガイドして、今日も朝からめっちゃ歩くアルハンブラツアーだなんて、本当になんて働き者なの~😭✨
イスラム王朝の栄華アルハンブラ
さてさて、アラビア語で ”赤い城塞” の意味を持つアルハンブラ Alhambra・・・スペイン語読みなら ”アランブラ” のところ、アンダルシア方言では “アルハンブラ” と読むのだそうだ。
8世紀のこの地域はイスラム文化圏にあり、グラナダを発展させたのもムーア人(=アフリカ北部のイスラム教徒)。その後カトリック教徒によってレコンキスタが進み、イスラム最後の砦になったのが13~15世紀に栄えたナスル朝 La dinastía Nazarí のグラナダ王国。贅を尽くした美しい宮殿は戦いの末、キリスト教のものになった。
それが、アルハンブラ宮殿 Palacio de la Alhambra。ナスル朝初代ムハンマド1世が建設を始めたもので、イスラム建築の最高傑作といわれている。東南にあるシエラネバダ山脈から流れるヘニル川とダロ川にはさまれた水の豊かな丘に位置し、当時2000人もの人々が中で生活していた。
このところはチケット確保が大変で、特に涼しい時間帯は大人気! パスポート必携で再入場不可、8:30から20時までひっきりなしに膨大な数の観光客を受け入れ、それでもたくさんのスタッフが配備され、うまくコントロールされているのは流石というほかない。
見どころは入口から2方向に分かれていて、西のアルカサバとナスル宮、そして北のヘネラリフェ(夏の離宮)。ナスル宮が12時予約なので、それまでに西側エリアの他の部分を観てまわるプランでいきまーす!!
10時半~ カルロスⅤ宮殿とアルカサバ(1.5hr)
12時~ 入場時間指定のナスル宮(1hr弱)
13時~ 庭園を移動しヘネラリフェ(30分)
カルロス5世宮殿
アルカサバにゆく道のりの途中、オーディオガイドは入口で借りるのを忘れ、カルロス5世宮殿前の広場で借りることに。日本語が入っててありがた~い✨
アルハンブラを帝国の中心地にしようと考えたカルロス(カール)5世の命により、ミケランジェロに師事したペドロ・マチューカが設計したイタリア・ルネサンス様式の建造物。1階はドーリス式、2階はイオニア式(懐かしい名称!)。四角い建物の中央に丸い中庭があって、なんとなくローマのコロシアムを彷彿させるつくり。
王の生活の場として計画されたにも関わらず、資金不足などさまざまな理由から建設に何百年もかかり、カルロス5世がそこに住むことはかなわなかったそう(というか現在まで未完なんだって…)。
いろんな色が混じり合った堆積岩の柱。もともとアルハンブラにあったイスラム建築群とは、まったく趣の異なる宮殿だね。
赤い要塞アルカサバ
アルハンブラの中で最も起源が古いのがこの要塞、アルカサバ Alcazaba。今の姿はムハンマド1世によるものだけれど、9世紀の段階ではまだイスラムの都がコルドバにあって、ここグラナダにはアルカサバ(alはアラビア語の定冠詞、カスバは迷宮要塞)のみが建てられていたそうだ。
あたしはこの鉄を含むテラコッタの色合いと直線で構成された潔くどっしりとした四角い外観が、アルハンブラの中でも特にお気に入り😍✨ 青空を背景にするとよりその美しさが際立つ!
オメナッヘ、ケブラーダ、クーボ、アルマスなどいくつも塔があり、いちばん西の奥にある大きなベラの塔は一時王の住まいとして使われた点で特殊なつくり。内部は白く滑らかで、エレガントですらある。
宮殿を造った建築家たちは、城塞都市の秘密が外に漏れないように完成後に殺されてしまったらしい。要塞は軍事施設だから、確かにそう考えてしまうのも分からないではないけれど・・・それってどうなの?って思うよ・・・。
多数の人命よりも国、いや権力者を守ることが優先って、今も同じ考え方の国家はたくさんあるけどさ。
天に向かって真っすぐ伸びる緑は、生と死の両方を象徴する糸杉(セイヨウヒノキ)。直線的で無骨な赤い要塞がとりわけ美しく映えるのは、この糸杉が隣に寄り沿っているおかげでもあるのかな。
ナスル宮に魅せられて
だいぶ前から並んでも、予約時間までは入れてもらえないナスル宮 Palacios Nazaries。貴重な歴史的建造物を維持するため、人数がしっかりコントロールされている。スペイン人、けして細かすぎないけれど、結構几帳面なのよ😉
砂漠地帯からイベリア半島にやってきたイスラムの人々にとって、豊かさの象徴でもある水が宮殿のあちこちで使われている。シエラネバダ起源の川からたった20mの高低差を利用して、約6㎞もの用水路を走らせていたというから驚き😲
偶像崇拝を禁じるイスラム教においては、幾何学模様、カリグラフィー、植物模様が3大装飾に。星は四角形が2つ重なる八芒星 ”イスラムの星” ね!
漆喰の装飾は、完全に乾く前に彫刻するか、鋳型でつくっているんだって。それにしてもこの芸の細かさ。。。目で追っていると意識が遠のきそう。基本的には同じパターンの繰り返しなのに、バランスよく調和し、まるで悠久の繁栄を紡ぐかのようです。
白い森に迷い込んだような、夢とも現(うつつ)とも分からなくなる幻想的な回廊「ライオンの中庭」。中央では12頭のライオンが水盤を背負い、当時は水時計として、時間ごとに異なるライオンの口から水が出ていたんだって。
この中庭があるライオン宮は王様のプライベートエリアで、王と女性しか立ち入れなかった。庭を行き交う美しい女性たちのクスクス笑う声が、今にも聴こえてくるような気がする。
八芒星のかたちをした明り取りの窓を囲む蜂の巣状のものは、イスラムの幾何学的立体装飾ムカルナス。そう、24年前にいちばん衝撃を受けたのはこのアベンヘラセスの間の天井だった。。。
もともとムカルナスは、天井と壁の間の強度を補う目的を兼ねた装飾だったそう。
息もつけぬほどの、イスラム装飾の技。限られたモチーフを繰り返し使いながらも、まさに万物をすべて取り込んだかのような、無限の世界観を見せつけられた気がする。
水の宮殿ヘネラリフェ
迷宮のような空間から一転、表に出れば色鮮やかな緑の庭園へ。
なんか、ようやく息をつけるね(笑)
真昼のアンダルシアらしい逃げ場のない暑さを味わいながら、庭園の先のヘネラリフェへ。
”すべてが見える楽園” の意味を持つヘネラリフェ(水の宮殿) Generalife は、夏の別荘として建てられた。建物の柱のアーチや壁面にイスラムらしい精巧細密な彫刻が施され、豊かな緑、涼やかに宙を舞う噴水(シエラネバダの雪解け水)、噴水の周りには色とりどりの花が咲き乱れる。
この噴水と色とりどりの花は、忘れようにも忘れられなかった景色。全く変わらずに、今もこんなに美しく佇んでいることにしばし感涙😭
壁の装飾には、今でもこんなに鮮やかな色。漆喰の中に、青ならラピスラズリ、緑ならマラカイト、黒ならカーボンなどを混ぜているらしい。さぞかし華やかな離宮だったんだろうな~✨
遠くに臨むアルカサバと宮殿。癒し効果絶大の眺め!!
思わずご機嫌でパチリ😍✨
最後にもう一度噴水を眺めて、水の宮殿をあとにします。
☑アルハンブラ物語 The Tales of Alhambra
観光に際し、おすすめされる本のひとつが「アルハンブラ物語」。1829年、ロシア人の友人・スペイン人の従者と共にワシントン・アーヴィングがアメリカ公使館書記官としてスペインに赴いた際、縁あってアルハンブラ宮殿に滞在することになり、その素晴らしさに感銘を受けて執筆した旅行記・伝説集。1882年に出版され、異国情緒溢れる語り口は当時ヨーロッパに一大ブーム巻き起こし、この本をきっかけにそれまで人知れず荒廃していたアルハンブラが欧米に広く知られるようになったそう。あたしもこれから読んでみようかな♪
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