健康とアンチエイジングに大きな役割を果たしている、女性ホルモン。
増やすことにはみんな興味津々だけど、ホルモンの増減はむくみとと~~~っても関係が深いって知ってた?
ホルモンは少なくても、どれかひとつだけが多くてもダメ。あくまで ”バランス” が大事!
むくみ第3弾では「女性ホルモンによるむくみ」を解説します♡
女性ホルモンの増減でむくみが出るワケ
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女性の皆さんはご存知の通り、女性ホルモンの増減で起こりやすいむくみの時期がいくつかあります。
・エストロゲンサージが起きる排卵期
排卵期にお肌がプリプリしたり、胸が張って体に丸みが出るのからも分かる通り、この時期はエストロゲンの増加によって、皮下脂肪や皮膚に水分が多くなりむくみも出やすくなります。
・エストロゲンもプロゲステロンも多くなる黄体期
この時期は2つの女性ホルモンだけでなく、他のホルモンも増加しやすくて、むくみのほかニキビ・肌荒れ・イライラもピークに。この時期の女医は、男性医師たちからひそかに怖れられている(笑)
簡単に言えば、
“エストロゲンが多い時はむくむ”!!
黄体期は “プロゲステロンが増える時期” と認識している人が多いけれど、グラフを見れば一目瞭然、正しくは2つの女性ホルモン両方とも増える時期なのです。
プロゲステロンには利尿効果があって、むしろエストロゲンの水分貯留を緩和するホルモンなんだよ!
そして閉経期では、0に近くなるプロゲステロンに対し、エストロゲンはある程度脂肪組織から産生されます。相対的にエストロゲンが増えた状態なので、やっぱりむくみやすい。
・プロゲステロンに対して、相対的エストロゲン過剰状態になる閉経期
でもこれらむくみの背景には、さまざまなホルモン事情が絡んでいるんです!!
黄体期のむくみを深堀り
女性ホルモンは、コレステロールを原料として動いている、ステロイドホルモン産生系で作られています。
そのフローがこ・ち・ら⤵

こうして男性の体内でも女性ホルモンは作られているし、女性の体内にも男性ホルモンは存在するのね。ステロイドホルモン産生系ではいくつかの枝に分かれ各ホルモンが作られるわけだけど、
たとえば右側のエストロゲン(E1+E2+E3)の産生が増えると、その途中のDHEAや枝分かれ先のコルチゾールが一緒に増えたり、生理前の黄体期にプロゲステロンが増えるとその下流のアルドステロンが一緒に増えたり・・・ということが起こりやすくなります。
そうするとね、黄体期はむくみになりやすいホルモン(エストロゲン・アルドステロン・コルチゾール)がのきなみ増えちゃうフェーズなんだよね・・・だからせっかく利尿作用を持つプロゲステロンが頑張ってても、結果的に黄体期(生理前)はむくむ。
物量×変換酵素のはたらき×生理周期 で、各ホルモンの生産量が決まるからね!
(ちなみにホルモンの効果発現はその量だけでは決まらず、標的細胞における受容体の種類や出現度、酵素の活発度などにも左右されます。ホルモンバランスが栄養改善なしに語れないのはそういう理由✨)
28日周期で生きている女性は、24時間周期で生きている男性とは違い、生理周期に合わせてホルモン変動の波を受けやすい。男性よりもはるかにむくみやすい条件が揃っているんだよね。
閉経期は相対的エストロゲン過剰
閉経期のむくみはもっと複雑です。
女性ホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)は主に卵巣で作られていますが、閉経後は副腎でつくられる男性ホルモン(女性の体内でも少量作られています)をもとに、脂肪組織において少量ですがエストロゲンを作るようになります。
少しふっくらした女性の方が健康で長生きするのは、最大の抗酸化物質であるエストロゲンが、更年期以降脂肪で産生されるようになるからでしょう。
ただし、閉経前のエストロゲンはE2がメイン、閉経期のエストロゲンはE3メインね。

一方プロゲステロンは、排卵後に卵巣にできる黄体から作られるホルモンなので、卵巣が萎む閉経期を迎えた後はほとんど作られずほぼゼロに。
こうしてエストロゲン(=むくみやすい)はある程度残る一方で利尿作用を持つプロゲステロンがなくなり、他の代謝に関わるホルモン群も一緒に低下し(=むくみやすい)、足りなくなったホルモンをもっとつくるようにと視床下部からは産生指令がじゃんじゃん出されるのでステロイドホルモン産生系は活性化され、その結果アンバランスに増加した抗ストレスホルモンのせいで水分貯留と高血圧に(=むくみやすい)。
こんな感じで、閉経期(更年期)はむくみやすくなるのです。よくこの年代の女性が口にする ”水を飲んでも太る!” はまさにこの状態。
プロゲステロンは本当に”ブスホルモン”なのか

生理前の黄体期に肌の調子が悪くなり、イライラしたり過食に走ったり肩コリが酷くなることから、長らくプロゲステロンはブスホルモンというありがたくない別名を付けられていますよね。。。
単純に黄体期だけ出ているプロゲステロンが悪者って間違われちゃったのかもしれないけどさ、黄体期ってのは女性ホルモンが両方とも増える時期で、同時にコルチゾールも増え(食欲亢進や慢性ストレス状態、肩コリ、高血糖による老化)、アルドステロンも増え(高血圧・高血糖による老化)るわけ。
そりゃこの時期はブスにもなるってもんです。別にプロゲステロンだけのせいじゃないから!!

逆に、原料であるコレステロール不足の人(T.Chol 170以下)はどのステロイドホルモンも産生が弱くなるので、ストレスに弱くなるし、疲れやすいし、肌艶がなくなるし、十分な生理周期が得られずに生理が止まったりします。もちろん病気も増える!
本当にホルモンはバランスが大切✨
プロゲステロンだって大事
プロゲステロンには利尿作用だけではなく、いろんなはたらきがあるんだよ!
☑ 利尿作用がある
☑ 平滑筋を弛める(子宮の収縮を抑える、便秘になりやすい)
☑ 乳腺や子宮内膜の細胞を成熟化(癌化しにくく)する
☑ 肌の角質層を厚くする
☑ 毛の成長期を維持する(髪を太く長く育てる)
卵子の着床や妊娠維持のために、子宮平滑筋の収縮はプロゲステロンによって抑えられています。同じように腸の蠕動運動(平滑筋)も抑制されるので、便秘がちに。
そして乳腺や子宮内膜の細胞増殖を担うエストロゲンに対して、プロゲステロンはその増えたあとの細胞機能が安定するようにはたらきかけています。
生理前の肌荒れや毛穴目立ちは ”ブスホルモン” のせい!と、今までさんざんな扱いをされ続けてきたプロゲステロン……😭
一見悪者のように見えるその作用にも、生物学的に大切な意味が込められているの!
ホルモンバランスを改善するには
ホルモンバランスは生活習慣と切っても切り離せないので、栄養バランス・適度な運動・質のよい睡眠・ストレスコントロールは大切なポイントです。特に、明るい日の光を浴びて活動し、夜は休息をとるという1日のON/OFFが規則的に行われることは大事。
糖質過多はコレステロールを増加させ、ステロイドホルモンの産生を乱し過剰になりやすいので改善してね!
ホルモン補充療法

更年期以降は女性ホルモンがほとんどなくなってしまい、これをしっかり増やしたい場合はホルモン補充療法しかないのだけれど、より安全な補充には合成ホルモン薬(女性ホルモンの類似物質)より、ナチュラルホルモン薬(女性ホルモンと同一の物質)がおすすめです。
合成ホルモンは代謝が遅いため、1日1回の内服で安定した体内濃度の維持が可能。特に本来のプロゲステロンは代謝が速く濃度が下がりやすい物質なので、保険診療で出されるのは濃度管理しやすい合成プロゲステロン(プロゲステロン類似物質)になります。
日本ではエストロゲン+合成プロゲステロン補充の保険適応もある反面、個人差に合わせた処方がしづらい(量のヴァリエーションがない)のと、副作用の頻度や癌化リスクはナチュラルホルモン補充に較べて高め。
ちなみにナチュラルホルモン補充では、エストロゲンはE2+E3を使います。エストロゲン単独ではなく、プロゲステロンも一緒に使うのがポイントね。
田路は、数年前から松倉のナチュラルホルモンを補充中。プロゲステロンを先行して始め、今は少量ながらエストロゲンも足してるよ。
おぉっと・・・
ホルモンの影響で起きるむくみについて話すハズが、
ホルモン予備知識篇みたいに💦
そのうちホルモン補充療法のハナシもするからね~✨
プロゲステロンは30代後半、エストロゲンは少し遅れて40代くらいから低下することが多いよ! 気になる方はぜひご相談下さいませ。
脚のむくみ女性ホルモン篇、完♥