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  1. SEASIDE

バルセロナ&ロンドン②成長し続けるサグラダ・ファミリア

Mon, 6 Jul 2015
1 サグラダ・ファミリアをのぼる
  1.1 朝のサグラダ・ファミリア
  1.2 成長の軌跡
2 フィンカ・グエルのドラゴン鉄扉
3 聖なる山、モンセラット
4 バルセロナの夜


クロワッサンにハムとチーズを挟んで早々に朝食を終える。パティオからは、古くからあるスペインらしい色彩のアパートの生活が見える。

カスティーリャをチェックアウトし、まっさらな空のバルセロナ市街へ。

市内の地下鉄は便利。サグラダ前からガロガロとトランクを引きずり、今日の宿アイレ・ホテル・ロゼロンへ荷物を預けて……と。

サグラダ・ファミリアをのぼる

アントニ・ガウディAntoni Gaudi は職人の家の生まれだ。兄弟は若くして亡くなり、ガウディ自身もリウマチを患う。そのためか健康管理に気を遣い、自然食品を利用した独自の治療法も行っていたそうだ。

そして、活発に動き回ることが難しいという身体的ハンディキャップは同時に、身近に触れる自然の造形をつぶさに観察する習慣を育て、これがのちのガウディ建築のデザイン基礎となっただろうことは、容易に想像できる。

朝一番に向かったのは、今も変容し続けるサグラダ・ファミリアSagrada Família。自然界の様々な造形が、この中にもたくさん用いられている。

朝のサグラダ・ファミリア

生誕のファサードから9時に入場。入るなり、朝の光が白い柱にステンドグラスの色を映す姿が。


うわぁ……これを見たくて朝一番にしたんだよね……。

今まで見てきたバシリカとは、全く趣の異なるファンタジックな身廊。

成長の軌跡

10時、エレベータで塔に昇る。外を覗くと白い鳩と、バルセロナの街。

外の景色や塔のつくりを見ながら、螺旋階段を少しずつ下ってゆく。表面に経年変化や汚れを生じた石材が、建造にかかった年月を感じさせてくれる。


地階のミュージアムには、懸垂実験や貴重なガウディ直筆の資料などが保存されている。ほとんど設計図を書かなかったガウディは、懸垂実験の結果を写し取り、上下逆さにした上で模型に落とし込んだそうだ。

何度も計画を練り直した結果いくつもの模型があり、スペイン内戦で一度壊れ混じり合ったそれら模型のかけらは、今も地道に復元されながらサグラダ建設計画の基礎におかれている。

ガウディの懸垂実験


天に落下する鐘塔” 

そう呼ばれるサグラダ・ファミリア。
コロニア・グエルで10年をかけて行われた実験が、このサグラダにも活かされている。

まさに天に落下する放物線

生誕の門側、手仕事(アナログ)による見事な彫刻。外尾悦郎さんは、スピラックスによる受難側を「ガウディの意志を反映していない」と評し、スピラックス氏とは犬猿の仲だそうだ。

だろうなぁ~分かる💦
あたしも人の手による体温を感じられない、受難側は見たいと思えなかった。


自然がつくる形は、理に適っている。
重力を感じ、風を受けてしなり、それは“そうでなくてはならない”必然性に基づいて生まれているからだ。


ガウディは計算に基づいた詳しい設計図を残していないけれど、その建造物は現代の構造計算によってもほぼ理論的に正しく、それどころか他の建築と比較しても、さらに精度が高いのだとか。

彼はそこへと、自然のつぶさな観察と実験だけで辿り着いている。

方程式を学び扱うアカデミーには一度も入っておらず、自分の手で模型を作り、材料を検討し、職人たちに直に伝えるという方式をとっていた。

31歳から40年以上にわたり関わり続けたサグラダの、自身が生きているうちに完成に至った地下聖堂に、彼は今眠る。


異形、とも評されることのある贖罪教会だけれど、バルセロナの木々や街並みの中では違和感がない。この土地だから生まれた建築であったことは間違いないよね 。

かつて寄付からなる建築費用の捻出が難しく、いつできるかもわからなかった贖罪教会は、観光収入の増加とコンピュータによるサポートにより、コンクリートをデジタルで切り出しながら急ピッチで建設が進み、今やガウディ没後100年、2026年の完成を目指しているんだそうだ。


でも……
サグラダ・ファミリアはゆっくりでいい、作り続けることに意味があるんじゃないのかな。

ガウディのビジョンが人の手で継代され、成長し形を成していく。贖罪教会としての寄付による建設という原則を守りながら。

それこそがサグラダ・ファミリアの本質だと思うし、生き物のように変化を遂げていく様子に、人はより生命の力を感じ取るのだろうから。

フィンカ・グエルのドラゴン鉄扉

余裕をもって予定を組んでいたので、思ったより時間が余っちゃった。どうしよかな……

氷のグラスに注いだカプチーノ(スペインではアイスコーヒーはこうしてテーブルで作る)を飲みながら、フィンカ・グエルのドラゴン鉄扉 Dragon gate of Finca Güell を観に行こうと思い立った。

多少アクセスが悪いので、この暑さの中行くのは覚悟がいる! 地下鉄でMaria Cristinaまで行き、マップ上はそこから西へさらに北へ5分ほどだが、信号も多いし暑くてもたもた歩いてたから10分以上かかったかな。

日傘がなかったら歩く勇気がないほど、大通りは熱波地獄。7月は連日、晴れ続きのバルセロナ。当然30度超え。(スペイン南部は40度らしい)

でも真昼の強い光で野性的に躍動する、究極のドラゴンに邂逅!


この完成度、スゴイ……。これもガウディデザイン!

当時は彩色されており、爪が機械仕掛けで動いたらしい。いくつか星型の鉄球がぶら下がっていて、これは北天の竜座の星の配置を示しているんだって。


このルポに出てくるガウディ作品に関する部分は、
サイト内記事「アントニ・ガウディ」と一部重複します。

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