- Mon, 20 Jun 2011 -
1 ”時を止めた町” ブルージュ
1.1 チェリービール&ビール煮込み
1.2 古き町並みを運河から眺めて
2 公女の眠る煉瓦造りの聖母教会
3 おみやげ天国ブルージュ
4 見たかったクノップフ!ベルギー象徴主義
パリの最終日は、”北のベニス” ”天井のない美術館” と呼ばれる、ベルギーのブルージュ1日ツアーに参戦。
何が戦いかって、片道4時間近くかかる日帰りツアーなのよ、これ。
朝5時起床、7時過ぎオペラ座My Bus社集合。早く出すぎて、一緒に参加するツアーのお友達とカフェで朝の一杯。
ゆっくりとパリの街を堪能ってのも考えたけど、パリ発でもう一国ってところについ・・・唯一月曜発を催行してる会社を見つけて、日本から予約をしておいたの!
なぜ月曜に少ないかっていうと、美術館や市場がすべて休みだから。
ガイドさん「皆様おはようございます。今日はフランス全土が雨降り。雨のブルージュはワタクシもどうやってご案内していいかわからなくって~・・・おほほほ」
なんじゃそりゃ。
ちょうど航空ショーが重なって手ごろな小型のバスが出払っているからと、巨大バスにたった4人の、そこはかとなく不安なゴージャス貸切ツアーが始まった。
”時を止めた町” ブルージュ
日頃の行いのおかげか、270km移動している間に雨はあがって曇り空に。でも寒さは半端ないよ~💦
まったいらな土地にあるベルギー。ブルージュ(ブルッヘ) Bruggeには、赤茶色いモザイクでできた中世の町並みが残されている。
運河に囲まれた旧市街を、愛の湖からゆっくりお散歩。背の高い木々の合間に、整った建物の色が映える。思わずその中に入り込んでみたくなる町並み。
木立に映えるベギン会はベネディクト女子修道院として、良家の子女のよい鍛錬の場所となっているんだそう。
雨に濡れた高い木立ちに、鳥たちのさえずり。きれいな空気。その道を抜けると、いよいよ本格的に中世の街並みが!
ひとつひとつ色が違うレンガの重なり合い、独得の階段状の飾り。
馬車のひづめの音がかっぽかっぽ鳴っていて、まるでタイムトリップしたみたい・・・。
チェリービール&ビール煮込み
ひとしきりそぞろ歩いたら、さっそく昼食。ピンクのチェリービールで、チーズコロッケと名物の肉のビール煮込みに乾杯!!
飲みやすくてついぐびぐびいっちゃってキケンだわ~💦
一緒に参加されてたご夫妻もとってもよい方で、気兼ねなく話が盛り上がり・・・お酒も進む✨
古き町並みを運河から眺めて
軽く酔っ払った後はしばし運河を遊覧。”ブルージュ”は、もともと”橋”のことを指す言葉なんだって。
運河の中にある島で、たくさんの水鳥がお昼休み中。
中世の色でできたモザイクみたい。ひとつひとつ違う色のレンガが積み重なってるの!
ここに観光に来ている人たちは、みんなとってもにこやか。橋の上から手を振って笑ってくれる。背の高いオランダ人や、すらっとしてやわらかな髪色の美形(たぶんスラブ系)が多いみたい。
公女の眠る煉瓦造りの聖母教会
少しお酒も覚めたかな?というところで、聖母教会へ。12~13世紀に建てられたもので、レンガでできた塔としては最大の高さだそうだ。
「あら、閉まってるはずなのに開いてるわね。入っちゃいましょう」
とガイドさん。えっいいの? ホントに??
中にはろうそくのいい香りが漂う。よく古い建物にある黴臭さは微塵もない。
珍しく国外にあるという若きミケランジェロの手による聖母子像。ブルージュの商人がイタリアから持ち帰り寄進したのだそう。
黒を背景に、白い大理石の像が浮かび上がる。いわゆるミケランジェロらしい動的な表現とは異なる、シンプルで静かな表情に見える。
その周りに組み合わされた祭壇のつくりの絶妙なこと。
自然と天に向かい祈りたくなる。そして目も潤んでくる。
さらに奥、修復作業の向こう側に、珍しい赤からピンクを基調とするステンドグラス。
安置された2つの棺の片方は、絶世の美女として民衆に慕われながら若くして落馬で亡くなった公女、マリー・ド・ブルゴーニュ。もう一つはその父で、当時ブルージュを含むネーデルラントを支配していたブルゴーニュ公・勇猛王シャルル(シャルル突進公)。
身廊には、色が鈍く濃くなった16世紀のキリスト像。下で12使徒が支えている。
・・・建物だけで感動した教会は今までもたくさんあったけど、内部の偶像やその装飾に感動を覚えるっていうのは正直あまり多くなかったんだよね。
ローマのベルニーニのように、”彫刻そのものがすばらしい”という感動とは、一線を画す類のもの・・・
偶然の開館に、胸の奥から湧き上がってきた動揺に、感謝。
⛪聖母教会
10世紀以前から存在し、12世紀初めにロマネスク様式で建築されるも間もなく焼失、その後トゥルネー・ゴシック様式で改築されました。北側の尖塔は崩壊後、煉瓦を用いて1361年に完成。高さは122mで、16世紀はじめまでこの地域で最も高い建物だったそう。そして今でも煉瓦で出来た建造物の高さとして、世界第2位を誇ります。現在の尖塔は1634年に修復されたもので、教会上部のパイプオルガンは1720年代に作られています。
人気のあるマリー公女の棺が納められているだけでなく、海外所蔵が極めて珍しいミケランジェロ作聖母子像などの貴重な美術品も、この教会に多くの人々を集めています。
おみやげ天国ブルージュ
町の中心部、マルクト広場へ。
ギルドの建物、ルネサンス様式、古典様式、バロック様式、この地独特のロマネスクともゴシックともつかないレンガの建物、とにぎやかな景観。カリヨンが鳴り響き、観光馬車が次々と闊歩してる。
景色に憧れただけで来てしまったけど、レースやタピスリーといった細かい手芸品、チョコレート、ダイヤモンドといくらでもお土産が揃うらしい!
見ているだけでも楽しいたっくさんのチョコレート。
レースで有名なイルマというお店では、一見して使っている糸から繊細であることがわかる良品揃い。
1枚お手頃なものをお土産にしたよ。手作りワンピの部分使いにしようかなー♡
ダイヤは磨きの工程がギルドで発展してかつて一大加工地だったそうで、今は南アフリカ原産のダイヤが多く、アントワープに加工の中心が移ってしまったそうだ。
見たかったクノップフ!
ベルギー象徴主義
ブルージュが現在、中世のままの空気を残す町として人気の観光地となったわけは、アントワープも含め一時交易で隆盛を極めたこのフランドル地方が、徐々に砂で港が埋められてゆきひどく廃れ、周囲の発展から取り残されたためなのだそうだ。
そう・・・帰り際に見かけたのはクノップフのポスター!!
そうだベルギー象徴主義・・・彼の描いた「見捨てられた街」は、ブルージュ独特の建物の形だもんね。
本来これにファン・ダイクらの作品も美術館で見られるんだから、確かにここは数時間だけでは堪能できないかもな~。
🎨象徴主義
19世紀後半のフランス文学に始まり、フランスとベルギー画壇、そしてヨーロッパへと広がっていった一派で、目に見えない内面や感覚的なテーマを言葉や具象的な絵画で表現するのが特徴です。詩人ボードレールと悪魔的・退廃的な挿絵を描いたロップス、詩人ペラダンと静けさと謎に満ちた作風のクノップフや耽美でオカルティックなデルヴィル・・・フランス文学とベルギーの画家たちが互いに刺激を与え合い、完成されていきました。
モロー、ルドン、ムンク、クノップフなど、個人的に大好きな画家たちがうじゃうじゃ集まる一派です✨
クノップフ「スフィンクスの愛撫」
往復8時間、夜遅くにようやくたどり着いたパリ。とりあえずホテル近くの寿司バーでにぎりセットを購入。
部屋でかかっぱ茶(粉末玄米粉茶)を溶いて、この旅始まって以来の日本食となるのだった。
寿司であって寿司でない、びみょーなお味にしごく納得。