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鉄欠乏③診断のポイントと鉄の吸収・排泄

鉄欠乏がどんなものか、なんとなく分かってきたかな?

せっかくなので診断のポイントと、鉄の吸収や体内での動きについて、もう少し詳しく知っておきましょう!

鉄欠乏の診断

鉄欠乏、特にかくれ貧血の診断はなかなか奥が深いけれど、以下のようなデータをもとに総合的に判断しています。

☑ 血算(血球の数、ヘモグロビン値)
☑ 網状赤血球数(赤血球の生産)
☑ フェリチン(貯蔵鉄量、炎症の有無)
☑ 血清鉄(鉄分の傾向摂取量を反映)
☑ TIBC、UIBC(鉄結合蛋白の量)
☑ 亜鉛などのミネラル(代謝に関わる)
☑ 肝酵素、肝エコー(フェリチン貯蔵部)

詳しい読み方はココでは省きますが、

ヘモグロビン(Hb)低下=「貧血」

Hb低下なし、フェリチン低下=「かくれ貧血」

ざっくり言えばこんな感じです。

出血で急速に進行する場合はHbから下がりますが、 摂取や排泄の問題で徐々に進む鉄欠乏では、最初にまずフェリチンが下がり、これが進行しきってからHbも下がり始めます。

多分、酸素を脳や臓器に届けるはたらき(Hb)を最後まで保つため、そういう順番になってるんだろうね。


まだHbが低下してなくてフェリチンが低い状態……
それが
”潜在鉄欠乏(かくれ貧血)”
です。

どうして健診で分からないの?

健診ではフェリチンを測ることがまずないので、Hb値だけで貧血の有無を判断しています。それが潜在鉄欠乏を見逃しやすい一因。
そしてもう一つ、こんな理由が。

採血結果見ると「基準値」ってあるよね。このサンプルでは右の欄がそれ。

この人の血色素(ヘモグロビン)量: 13.3
基準値: 男性13.5-17.6 / 女性11.3-15.2


「基準値」というのは、「病気と診断されていない人」の平均値を少ない母集団から求めたもの。つまり不定愁訴(原因が特定できず緊急性の低い症状)のある人や、未病状態の人も含まれています。

本当に鉄が足りていれば、女性でもHb値は13-15くらいは出るので、もしHb11台だったりすれば、確実に鉄欠乏症状があるハズ。

でもHbが基準値内だと、病院では
「貧血はないね」と言われておしまいです。

フェリチンに至っては、特殊な場合を除きチェックされることはまずないので、”かくれ貧血”はなおさら分からずじまいに。


それが、保険診療や健診の限界なのね。

健診の検査結果を判断するのは、ふだん保険診療をしている先生です。なので、これらの数値の予防医療的な解釈に詳しくありません。病気を診るのと、未病を診るのでは、まったく守備範囲が違うからです。

つまり、保険診療の先生に「大丈夫、悪いところはないよ!健康だよ」と太鼓判を押されたとしても、

なんとなく不調・・・
疲れの原因が分からない・・・

というモヤモヤが残っちゃうことがあるのです!

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