あまりに多彩な症状を引き起こす、鉄欠乏症。
どこに共通点があるのか、摩訶不思議ですよね……。
今回はそこのところに注目してみましょう!
鉄のはたらき
鉄(Fe)はミネラルのひとつ。
ミネラルはカロリー(エネルギー源)は摂れないけれど、身体の調子を整え、細胞が健全に活動するために必須の栄養素です。
鉄の場合は体内に4g(4000mg)ほどあり、さまざまな役割を担っています。
次の①~⑤が、代表的な鉄のはたらきね。
① ヘモグロビンとなって酸素を運ぶ
② 酸素を使ってエネルギーを作る
③ 蛋白質・ビタミンCと共にコラーゲンをつくる
④ 各種酵素になり免疫を担う
⑤ 他のミネラル・ビタミンと共に脳の働きを安定させる
このうち、
①はヘモグロビンとしての鉄のはたらき、
②~⑤はフェリチンなどその他の部分にある鉄のはたらきです。
そして、鉄が足りなくなった時は、基本的にフェリチンから先に減っていきます。いちばん大切な①のはたらきは、最後まで死守されるってことね。
つまり、いわゆるヘモグロビンの少ない”貧血”はなくても、
フェリチン不足=”かくれ貧血”
として症状があらわれることがあるんです!
健診では、ヘモグロビンは測りますが、一般的にフェリチンがチェックされることはありません。また、測ったとしてもその解釈が、保険診療の先生ではなかなか難しいのも事実なのね。
なので、健診を受けていても、知らないうちにかくれ貧血化している人が実はたくさんいるのです。
だから鉄欠乏症状はこうなる!
鉄のはたらき別にまとめるとこんな症状に。
① 酸素が組織に届かない
顔色の悪さ、動悸、頻脈、息切れ
② エネルギーが作れない
疲れやすさ
寒がり・暑がり(体温調節ができない)
むくみ、めまい・耳鳴り
③ コラーゲン合成力が低下
爪の脆さ、スプーン状爪(反る)
関節痛・筋肉痛、運動後の体の痛み
腱鞘炎、筋膜炎
ヒールで足の裏が痛い(足底腱膜炎)
舌炎・口角炎
嚥下障害、のどのつかえ感
皮膚乾燥、たるみ・小じわ
青あざ多発、歯肉出血
(コラーゲンはお肌や粘膜だけでなく、血管・骨・関節・靭帯・腱などを構成しているので、それが劣化するとさまざまな場所に不調が現れます)
①~③の複合原因で
頭痛、肩コリ、便秘
生理前の不調、青グマ、薄毛
④ 免疫力の低下
ニキビの化膿、風邪を引きやすい
⑤ 脳の活動が不安定
集中力低下、イライラや鬱、産後うつ、不眠
⑥ その他
異食症(硬い氷や土などを食べる)
(生物として本能的に、硬いものからミネラルを摂ろうとするための行動のようです)
鉄不足だけが原因ではないことも!
もちろんこれらの症状が、鉄不足だけで起こることもあれば、他の栄養素不足も伴い起きている場合もあるのね。
”亜鉛不足” ”B群不足” ”蛋白質不足” などが、よくある合併パターン。代謝が下がり、体の組織が作れず消化吸収力も落ちて、栄養の悪循環に入ってしまいます。
また、脂肪肝が鉄のはたらきを停滞させてしまうことも。鉄のはたらきは、その貯蔵庫でもある肝臓の健康度と強く結びついているんです!
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