- Thu, 9 Jun 2011 -
1 世界遺産 プリトヴィッツェ
1.1 クロアチアの子供たち
2 古都シベニク
2.1 時が生んだ色彩
2.2 聖ヤコブ大聖堂
朝。モーニング・コールとともにベッドに跳ね上がり、まずはじめにやることはカーテンあけてお天気チェック。
うわっはー晴れてるっ!
やたーーーっ!!
今日はこの旅のメイン・イベントのひとつ、16個の湖と幾多の滝からなる世界遺産、プリトヴィッツェ国立公園 Plitvicka jezera。
昨晩泊まったベルビューホテルは、午前中のうちに人の少ない上流コースの入り口まで歩いて行けることから人気が高く、この時期に予約がとれることは稀なのだそう。ハイシーズンの夏季には隣のボスニア領にホテルをとったり、1時間くらい離れたホテルに泊まってまで来るツアーも多いみたい。
世界遺産 プリトヴィッツェ
ところが! 出発まもなく、ぽつぽつとひそやかな雨・・・。
「山の天気は読めませんから」
眉ひとつ動かさず歩を進めるガイドさん。
でもだってだって、プリトヴィッツェなのにぃ!
そんなことあるはずない、とかぐわしいほどに香る木々の匂いの真っ只中に足を踏み入れる。
ボートでコジャック湖を渡り、ハイキングが始まる。マイナスイオンも出まくってる!!
透明な湖が現れては消えて、水を浄化する石灰の析出した白い木々の合間に、人の影に驚きもしない魚たちが優雅に泳ぐ。藻が生えてたり、石灰が多く湖底にあるところでは緑色に、深いところでは独特の青緑に姿を変えながら・・・。
そう、そして佳境に差し掛かる頃には、晴れ間がぐんぐんと広がり、湖の青さはより鮮やかに!
『伝説の女王が
干ばつに襲われたこの地に雨を祈願すると
女王の形をした雨雲から涙が零れ落ち
これがプリトヴィッツェの湖になった』
なぜ、昔の人がそんな伝説を思い描いたのだろう。
呆れるほどに澄んだ水、透明感あふれる自然の躍動美、わけもなく涙が溢れてきた。
その穢れない美しさが、すべての答えなのだろう。
ここには19種のマス・コイ・カワカマス等が住んでいるんだって。
人間以外に生まれ変わるなら・・・スコットランドの羊か、プリトヴィッツェの魚になりたいな。
かつての内戦ではここにもバリケードがつくられ、砲撃が行われ、危機遺産に指定されていた。それが、今はここまでの姿に立ち直っている。
まるで自然界の精霊たちがからだの中に滑り込んでくるよう。ほとりを歩いているだけで、何かが満ちていく。
ここは、ヒーリングスポットではなく、パワースポットなのかな。
クロアチアの子供たち
日本人観光客が増えてきたので、学校ではかんたんな挨拶程度の日本語を教えているんだそう。そのせいか、すれ違うと嬉しそうに「コンニチハー!!」を連呼する子供たち!
人懐こくて元気だけど、それ以上のverbal communication(英語とかも)は難しいみたい。
話しかけると「うっどうしよう・・・」的な表情に(笑)
奇跡の天気が続く至福のハイキングが終わる頃・・・どこからともなく雨雲がやってきて雷まで鳴り始めた。
バスに乗る頃にはもう土砂降り!!
晴ればかりなら暑すぎたし、雨続きならあの色は見られなかったわけで、まるで神様が私たちのためにシナリオを書いたかのようなドラマチックなお天気に。
これから公園に入ろうという子供たち、元気いっぱいだから大丈夫なんだろうけど、ちょっと可哀想かな💦
おみやげは綺麗な絵が描かれたビールマグと温度計マグネット♪
見事な筋書きと忘れ得ぬ宝石のようなプリトヴィッツェの姿で胸いっぱいのまま、バスは一路、シベニクへ。
古都シベニク
時が生んだ色彩
長い年月を経た石灰岩独特の色合いに満ちた、シベニク Sibenik 。小さいながら24の教会と8つの修道院がひしめく古い町。金持ちになると2~3軒にひとつの、プライベートに近い教会を持っていたんだそうだ。
プーラやポレッチよりも暑く、からっとした熱気が日向にうずまく。その分、石畳の細い道はひんやりと涼しい。旅の疲れと暑さが重なって余計に思うのかもしれないけれど、その温度のコントラストが、石灰岩の町の特徴のひとつな気がするな。
ベージュの粒を含んだ卵色のアーチに壁、窓の緑や黒。
日向と日陰の色の違い。
ふとした拍子に、その組み合わせの何気ない美しさに、はっとさせられる。
聖ヤコブ大聖堂
尖塔やステンドグラスといったゴシック様式と、丸天井のルネッサンス様式が融合した”シベニクの宝”、聖ヤコブ大聖堂 katedrala sv. Jakova 。石だけで作られた聖堂建築としては世界最なのだそう。
ヴェネチアの職人の協力を得て15~16世紀にかけて建造され、1990年代の紛争でセルビア人により一度は壊されたもののすぐに再建。その際、内部の高度な建築技術が証明され、現在は世界遺産に加わっている。
71人の人面像の装飾、洗礼室の天井を飾る彫刻は、中世らしい魅力を湛えている。特に洗礼室の彫刻は見事なもの・・・そこにいるだけでありがたいような気がしてくる。
こういうものを生み出していく職人の魂って、敬服に値するよね。
今日の宿はスプリット Split 。ディオクレティアヌス帝の宮殿にも使われる、良質な石灰岩を産出するブラチ島がある地域だ。
明日はトロギールとスプリットを周った後、午後はいよいよドブロヴニク Dubrovnik に向かう。