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栄養療法、亜鉛を例に数字のハナシ。

”健康”とされる人たちにもちょくちょく見られる、亜鉛不足。前回は、その不足症状や、欠乏あるあるパターンについてお話しました😉


栄養欠乏特にミネラル不足に関しては、実際に採血で数字で見ながらの方が安全・確実な治療が出来るんだけど、みんなはきっとそういう機会が少ないよね。

今回はその辺りの治療者としての肌感覚を書いてみたいと思います✨

データを数字だけで読んではいけない理由

体調不良や不定愁訴に対するきめ細やかな栄養療法は、実は病気を対象に行う保険診療ではカバーできない分野です。そのため、栄養療法に詳しいクリニックで、自費診療での治療になります。

さらに、ひとつひとつの数値を機械的に分析して、画一的なサプリ処方をするだけでは不十分なの。個々の身体によって最適値や目標も異なるし、それぞれの栄養素は互いに影響し合っているため、読み取る側に知識と経験による総合的な判断力が必要だから。

なのでできれば、適切なサプリ処方以外にも、食事内容や生活上のアドバイスも含め全人的に診てくれるドクターOR専門スタッフのサポートがおすすめです。


亜鉛が足りないだけでも鉄欠乏症状が出ることあるよ~とか、ずっとあるサプリを使い続けることで他の栄養素が吸収しづらくなったりとか・・・

そういうちょっとしたノウハウやさじ加減は、私たちドクターが栄養療法を机で学ぶだけでは身に付けられないの。

しっかり患者の検査結果を眺め、どういう治療をしたらどこがどう変わったかフィードバックを地道に繰り返す過程で、推論に矛盾がないことを確認して得られる経験則なんだよね。

ちょっと話が逸れたけど、亜鉛を例に数値のハナシを進めて行くね!

分子栄養検査

栄養の過不足をみる分子栄養検査は、8時間絶食後(お水のみ可)の空腹時に採血・採尿して行います。体内の状態を正確に反映するには、この絶食は必須。

松倉クリニックでは2‐3週後にカウンセリング。
機械が即時に結果を出すところでは当日解析を聞けるかもしれないけれど、前述のような経験あるドクターによる複合読みが出来ない(これはAIで解決できるほど条件を整理・数値化できない部分)ので、なかなかパーソナライズされた治療にはなりません。

検査会社や検査機器によっても数値に違いがあるので、毎回同じ検査機関で継続して検査する必要もあります。

亜鉛の目標値は?

検査会社の結果シートに記されている「基準値」。基準値から外れると、HighとかLowとかしるしが付いて返ってきたりするよね!

基準値は、病気と診断されていない健常人のデータを、数十人分サンプルとして計測し、その両端2.5%ずつをカットした残りの95%を含む範囲になります。検査会社ごとに少し異なりますが・・・

血清中亜鉛の診断基準

亜鉛の基準値 80-130㎍/dL
60-80㎍/dL 潜在性亜鉛欠乏症
60㎍/dL未満 亜鉛欠乏症


でもこれはあくまで、保険診療上での基準。
田路の育毛外来に来られる患者さんの8割くらいは、年齢問わず亜鉛60~80台です!😱

もちろん薄毛だけでなく、細かい問診をすることで自覚していなかった症状がいろいろ見つかるんだよ。
それを治すための目標値は以下の通り。

亜鉛の目標値

血清中亜鉛 100-130㎍/dL
症状の改善目的なら多めが望ましい


亜鉛が充足されてくると、肌荒れ解消・発毛・胃腸障害の軽減・疲れにくくなるなどの変化が。

髪では、生え際・眉毛・まつ毛・うぶ毛から新生毛が見られ、徐々に頭頂部にも増えてきます。まれに初期脱毛があるけれどよい所見のひとつで、これを乗り越えてはじめて髪が育っていくからね!

亜鉛不足は、まず食事だけでは回復しないんでサプリを使って欲しいんだけど、さいわい急激に上がることは少なく(個人差はあるけどね)、上がったとしても中毒域にはまず届かないんで、じっくり・みっちり補充して。

症状が回復したとしても、その後しばらく続けて、欠乏しやすい方はゆるめにサプリを続けていくのが正解😉

ホヤホヤの亜鉛不足体験談

それは、つい最近の田路に起こりました(笑)

もともと、亜鉛は常に100くらいをキープ(個体として鉄欠乏は起こりやすいけど、亜鉛の吸収は割といいらしい)。

それでも唇が弱くて、口紅は荒れるから使えないし、冬になるとクセになってる部分が常に剥けている状態で困ってたの💦

そこへきて挙式前約1年に及ぶダイエットをし、終わってひと月くらい糖質多め(スイーツとか白米・パスタ)で、動物性蛋白質摂取をサボっててね・・・唇の全体が剥けるようになっちゃったの!!

これ絶対亜鉛不足だろ・・・
(残念ながら数値は確認してないんだけど)、食事の立て直しと亜鉛サプリを始めて3週間。

それまでにないくらい、唇がきれ~いに♡

これはイメージ画像😆


ここで大事なのは、亜鉛が100あった時でも剥けグセがとれなかった部分が、亜鉛強化できれいに治っちゃったってトコ。

育毛の患者さんでも、複数のサプリが必要で治療も高額になる場合は、亜鉛に関しては100をクリアしていれば補充を省くことがあるの。それでもいまいち髪の反応が悪い時に亜鉛強化してみると、みるみる良くなったりするのよ。。。

人によって栄養素のはたらきを十分に出すための最適値は異なるってことを、改めて自身の身体で確認したのでした✨

まとめ

最後に大事なところをおさらいね!

✔ 血清亜鉛値は100以上を目指す
✔ 目標値は100~130
✔ 最適値は人によるので欠乏症状があるなら強化を


以上、亜鉛を例に数字のハナシでした♪

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