憧れのブライス・キャニオン
12号から63号に入り、ついに標高2500mのブライス・キャニオン国立公園 Bryce Canyon National Park へ。
グランド・サークルを調べる中で、真っ先に行きたくなった国立公園がここだったの! 森の中のリゾートみたいに、木々の間で鹿たちがのんびりと草を食み、その間をゆったりと走る。
キャニオン・オーバールックからおよそ1.5hrでビジターセンター着。駐車場はやはり混んでいて、なんとか隙間に車を停め、高地順応のためしばしおトイレ休憩や情報収集なんぞして過ごします。ザイオンよりも少し涼しい気がするけれど、それでも14時台で気温34℃の湿度12%。

ザイオンでスプリングデールからシャトルが出ていたように、ここも最寄りのブライス・キャニオン・シティからシャトルが各ビューポイントを周ってくれるみたいね。
あたしたちはここでも公園内のロッジに宿泊予定で、そのロッジに近いSunrise Point最寄りの駐車場に車を停め、チェックインの前にキャニオンをぐるり1周トレイルする予定です。

その ”Queen’s Garden-Navajo Loop” トレイルは、天然の円形劇場(アンフィテアトルム)であるブライス・キャニオン一番の人気のルート!
北側にあるSunrise Pointからスタートして、クイーンズ・ガーデンからナバホ・ループへと進み、Sunset Pointに上がって来る。Sunset Pointからはリム(縁)を歩いて、車を置いてあるSunrise Pointに戻ります。標準コースタイムは2~3hr。
絶景 ”世界最高の3マイルハイク”
頭痛や嘔気等の不調なく、まもなくハイキングスタート! いきなり2500mに来たのではなく、先に1500mのザイオンで丸1日過ごしてたから、自然に高地慣れできてたのかもね😉

もともとパイユート・インディアンが住んでいたこの土地に、白人のモルモン開拓者がやってきたのが19世紀半ば。教会から送り込まれたスコットランド系のエベニーザー・ブライスは、大工技能を生かしてこの峡谷に道や用水路等の生活拠点を作り出した。
長く厳しい開拓に見切りをつけたブライス一家は、のちにアリゾナへ移り住むが、その名前は ”Bryce Canyon” としてこの地に残されている。
実は直前まで、雷雨予報が続いていたブライス・キャニオン。旅が始まってから少しずつ予報も良くなって、なんとか晴れ間の覗く日に来られたのはラッキーだったね!

あまりに素晴らしい景色が次々と現れるもんだから、あちこち目を奪われてばかり。でも ”E.T.” フードゥーは目印みたいに立っていてすぐ見つけられたよ!

ブライス・キャニオンは、さっきまでいたザイオンやアリゾナ州のグランド・キャニオンと地層を同じくしており(Grand Staircase)、アメリカ人はこの3か所を1度の休暇で周ることが多いんだって。
最も古い地層を顕わにするグランド・キャニオンに対し、ブライスでは最も新しい部分が露出している。

このフードゥーたちは、もとは6300万~4000万年前にあった川や湖の堆積岩。
酸化鉄とマグネシウムを含む浸食に弱いピンク・クリフと、浸食に強いホワイト・クリフから成り、昼と夜で寒暖差が激しい高地での日光や風雨、氷結による体積の変化により崩壊が部分的に進行した結果、土柱 Hoodoo が多数形成されたもの。

それもそのはず、真夏の今日も日中は34℃まで上がり、翌早朝には12-13℃まで下がる予想。1年のうち半分は、夜間に氷点下まで冷え込むんだそうだ。
そして、一度土柱まで進行するとさらに崩壊は加速。平面化が進み、このような広大なアンフィテアトルムを形づくってきたのね。
1時間ほど歩いたところで、日陰に座りお水休憩。
あぁ・・・ただの水が、とてつもなくうまい。塩レモン飴も舐めとこ。

ブライス・キャニオンを特徴付けている、立ち並ぶフードゥー。四方を囲まれているから、トレイルが作られていなかったらすぐ迷子になるだろうな。右も左も分からなくなりそうな広大な赤い迷路を、よくここまで整備したもんだと感心してしまう。
にわかには信じ難い、神秘的な世界。
年月が流れたら、今あるフードゥーもいつか砂に帰ってしまうんだろうか。。。

みんな軽装だし見渡す限りポール使ってる人なんってひとっこ一人いないんだけど、ザイオンで初めて使ってその歩きやすさと疲労軽減効果を知っちゃったあたしたちは、ここでもスタートからポールさまさま。
おかげで滑りやすい坂道も、ストレスなく快適なハイキング。
何せ今日は、極寒ナローズ→酷暑のキャニオンルックアウト→クイーンズガーデン&ナバホループ の3本立てだもん😆

でもここまで来てやっと気付いた! いつもの登山と違って、高いところから下がって周って・・・ってことは、下った分だけ上がらないと元の場所に戻れないじゃん!!

Sunset Pointを目前に、延々と続く無慈悲なスイッチバック(ジグザグの折り返し)。
もともと2000m超えのココは、ザイオンの比ではなく息の上がりが早い! 平地のところでも速歩きしていると息乱れるし、疲れやすいのよ。ちょっと登りが続くとすぐにハァハァ。。。あ~やっぱ高地なのね・・・。

サラサラの砂でできた坂は登りにくくって、トレッキング・ポールの有り難さが身に沁みる💦
靴から脛(すね)まで、砂ぼこりで真っ白だよ~~。

トレッキングポールっていいね!!
足ぜんぜん疲れないよ!
ワンちゃんも大絶賛のポールに支えてもらった、タフなスケジュールの1日。3本目は小休止入れて1.5hrくらいでした。
ココもザイオンと同じく、シマリスちゃんがあっちこっちで顔出してたよ✨

・・・ところで今ログ書きながら写真と照らし合わせてみると、どうもナバホ・ループに入り損ねて、Wall Street Sectionに入っちゃってたみたいね! これまたとても見所あるルートだったから、結果オーライ!? ←よく道を間違える人たち😥
回復タイム
ブライス・キャニオン・ロッジは、およそ100年前に建てられ始まった公園内唯一のロッジ。ここは周囲に光が少なくて最も星の観測に適した場所で、星空観測のレンジャー・プログラムもあるんだって。
でもちょっと雲の多い今日は、このあとの夕焼けも見られるかどうか・・・晴れ男トミーの強運に期待してしばし休憩。

ザイオンで苦労したので、1階を希望するも既に空きがなく、またしても2階😆
ウンウン言いながらスーツケースを上げて、さぁ入ろうとしたらカード・キーがうまく機能せず、ワンちゃんがもう一度フロントと往復する羽目に・・・疲れているところ、ありがと~💦

ようやくひと休み!!
宿泊エリアはフロントやレストランのあるメイン・ロッジ、その近くのキャビン群と、北側のサンライズ・モーテル、南側のサンセット・モーテルで構成されている。あたしたちが泊まったのはモーテルの一部屋。
少し離れてゼネラル・ストアもある。基本的に車で行き来するつくりだけど、ライトがあれば各施設やSunrise & Sunset Pointも歩いても行ける距離感だね。
このあと日没に合わせて出かけるので、休憩がてら夕食をとりにGrand Restaurantへ。ココは席数には余裕があり、予約不要。各国の言葉が賑わいの合い間を飛び交ってる。

うわ~・・・水、めっちゃ美味しいィ~~~。
ザイオンでもブライスでも、山はお水がとても美味しいの!! 歩いて来た後だからガブガブ入っちゃうね。カラフェごとおかわり~✨

朝のブッフェ以来の食事は、お腹をゆっくり温めるブロッコリーのチャウダーから。野菜の味がじっくり溶け込んで、田舎のお母さんの味。心も体もホッとひと息。
何度も体を動かしてたからかお腹が締まって、二人とも珍しく軽めのオーダー・・・したつもりが、あたしのコブサラダにOPでサーモン載せたらこんなの来た😆 向こうがトミーの炙りマグロのナチョ、ボリューム差に目が点。

コブ$14+サーモン$12=$26、ナチョ$18。基本アメリカの食事って、金額がボリューム感に比例していると思うんだけど、今回はそのイメージがちょっとバグったような・・・?
サーモンは仲良くシェアして食べました(笑)
夕日に染まるフードゥーを求めて
19時過ぎから観光再開。まずはロッジから森の中を車で7分の ブライス・ポイント Bryce Point へ。
駐車場はそこまで大きくないけれど、ザイオンやグランド・キャニオンに比べて足を伸ばす観光客が少ないブライスは、特に混雑している感じもなくスムーズ。そこからちょっと歩けば、展望台。
素晴らしい景観が目に飛び込んでくる。

あたし、ココからの景色好きだなぁ。
魂が救われるような気持ちになる・・・。

ブライス・キャニオンは ”渓谷 canyon” と名前がついているけれど、実際には水の流れが削り出した「渓谷」ではなく、弱い部分が時と共に崩れて残ったフードゥーの集まりなんだよね。不思議な円みと魅力を持つユニークな土柱やアンフィテアトルムは、時の流れそのものが削り出した ”奇跡” なのかもしれない。
日没は20:23、あと30分ほどに夕焼けが迫ってる。
急いで車に戻って次のポイントへ。
続くインスピレーション・ポイント Inspiration Point は、駐車場から近いLower Pointと坂を上った先にあるUpper Pointがある。まずは近場のLowerから。

わぁーぉ、これもまた・・・
抜け感のある広角の景色は清々しく爽快さが感じられる。
さらに上ははどんな感じなのかな? Upper pointに続く坂は長くて、高所だから上がるの結構しんどい💦
ハァ、フゥ・・・

さらなる全体像が1枚の写真に収まり、古代ローマの遺跡のように。
やっぱり夕焼けに照らされる姿を見るのは難しいのかな。
ちょっとだけ西側の木々と雲の間に隙間がある。そこに一瞬、太陽が顔を出してくれれば・・・
そうして辛抱強く待つことしばし、日没の15分前。
最後の最後に、フードゥーの向こうの頂が夕日を受けて、一瞬オレンジ色の輝きを放つ。

雷雨予報を塗り替えてココまで見れたのは上出来だね。

日の出前から始まったノンストップの一日は、数々の感動に彩られて、ようやく日没とともに終わりを迎えたのだった。
さぁ、明日に備えて今夜はゆっくり湯船に浸かりますか✨
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