午後はいったんニースを経由して、新しいツアーメンバー、インドからの年齢不詳な姉妹をピックアップ。計6人を乗せた車は、紺碧沿岸を西に向かって走る。
アンティーブ
Antibes
貿易の拠点として港を中心に発展したアンティーブは、さまざまな異民族の攻撃を受け、古くから城と要塞壁を築いた街。世界屈指ともいわれる、豪華ヨットが無数に停泊するモダンな青い港と、堅い守りの古めかしい城壁の街とが絶妙な組み合わせ。
アンティーブのビーチは小さいけれど、とても気持ちよさそう!
ところが、さっきの激甘なケーキが災いしたのか、急にお腹がぐるぐる……。店を利用すればおトイレ借りられるけど、集合まで15分しかないし……。
近くの屋台のおばさんに訊くと、壁に沿ってずっと行った裏にPublic toiletがあるよと。助かった! 言葉ろくに通じないのに、分かる人に当たるなんてラッキー!!
で、なんとかたどり着いてみるも
「メンテナンス中」
の札とともに扉に鎖と鍵がかけられてる!
まずい……。
あたりを見回しても、近くには建物すらまばら。管理室みたいなところも、電気が消えて人の気配がない。
あと人がいそうなところと言ったら……
遠くに見えるあれしかない!!
今から行っても集合時間に間に合わないかもしれないけど、そんなこと言ってられない。屋台のおばさんのところから、すでに500mくらい歩いている。お腹下している時にこれ、どれだけ辛いか分かる?
高級そうな扉を開いて日傘をたたみながら、にこやかにボン・ジュール。
ヨットの船室を思わせるウイスキー色のウッドカウンターごしに、 リッチ層相手と一目で分かる品の良いいでたちのスタッフが、にこやかにどんなご用件で?という表情を浮かべてこっちを見ている。
こちらもサングラスを外して笑みをつくり、涼やかに一撃。
「申し訳ないけれど、おトイレ貸して下さいません?」
口髭のイケメンスタッフの表情が固まったところで、苦しそうな表情を作って追い打ちをかける。
「”緊急事態”なんです……」
すべてを察したイケメンスタッフは、無言で女性用のところまで案内してくれた。有料らしく入口に別の係員がいたけれど、手短に事情を話してくれてそのままスルー。
……助かった。
こんな素敵な場所なのに、もっと落ち着いて観光したかったよぅ! 写真を撮りながら、急いで集合場所へ。
☑アンティーブのおすすめスポット
見ごたえある豪華なヨットハーバーはもとより、ここはグリマルディ城を使ったピカソ美術館がとても有名。作品も充実しているそうで、時間があればぜひ寄りたいスポットのひとつ。プロヴァンス市場もこの辺り一帯で最も活気があるとか。街の雰囲気が気に入ったら、宿をとってゆっくり過ごすといいかも……です!
☑ヨーロッパのおトイレ事情
日本の観光地ほどトイレの数も案内もなくて「自分の世話は自分で」的なオトナ仕様。有料のところも多く、コインは常に持っていたい。その数少ないトイレが、”時間外”とか”掃除中”とかの理由で締め切られていることもしばしば。できる限り利用したお店やレストランで慌てずに済ませておこう。
カンヌ Cannes
もとは農耕・水産の村だったカンヌは、19世紀に英国貴族がこの地にヴィラを建てて移り住み、その後同じくイギリス人が次々に別荘を建て、次第に高級リゾート地になったんだって。
どこよりもパラソルが多いのは、ここを訪れる人たちの、お肌に対する意識のあらわれかな?
そしてこれが映画祭が行われるPalais des Festivals!!
あれが
レッドカーペットね!!
でもこのカッコでは割とフツー(笑)
ポーズ練習しておくんだった
サン=ポール=ド=ヴァンス
Saint-Paul-de-Vence
ツアーの最後は、ボールドウィンやシャガール、ジャック・プレヴェールなど、多くの画家や詩人に愛された中世の鷲の巣村、サン=ポール=ド=ヴァンス。
比較的坂の少ない歩きやすい街並みを、ぐるりと壁が囲っている。もともとは聖人サン=ポール(パウロ)の名で呼ばれていたが、2011年から正式に今の名前になったそう。
入口・ヴァンスの門近くのインフォメーションで見つけた日本語ガイドマップをたよりに、細長い天空の村を歩いてみる。
西側には葡萄畑が。濃い緑が広がる気持ちいい眺め!
たくさんの本格的なギャラリーやアトリエがあって、実際作品を買いに来ている人もちらほら。日陰が多く通りは風通しがいいので、散策が心地いい。
☑マーグ財団美術館
アートをより楽しむなら、近くのマーグ財団美術館がとてもおすすめらしい。恵まれた自然の中で、シャガール、ミロ、ジャコメッティなどそうそうたる顔ぶれの芸術家の作品が楽しめる。
花で彩られた石畳に静かなカフェがあったり、
時を経た石造りのチャペルが、青い空に向かいそびえていたり。
この村の重ねてきた歳月と降り注ぐ日差しが、この温かな色みを作っているんだね。
南のニースの門からは墓地が続く。ここで最後の19年間を過ごしたシャガールは、2番目の妻と共にこの墓地に眠っているの。
ここでずっと暮らそうと決めた気持ち、分かる気がするな。
天空に翼を広げるかのような優雅な佇まい。古い歴史を刻んだ素朴で美しい街並みを胸に、車はニースへ。