North, South, East and West ーあたまの中を旅しよう。

  1. MEDICAL

鉄欠乏⑤鉄欠乏と甲状腺機能低下の深~い関係

鉄欠乏
甲状腺機能低下症

この2つは、あまりに症状が似ているのね。そしてどちらの疾患も女性に多いのです。

むくみ、皮膚の乾燥、疲れやすさ、代謝の低下、薄毛 etc….
まるで、女性の不定愁訴の集まりみたいでしょ?


甲状腺機能低下の原因はいろいろあるけれど、ちょっと知っておいて欲しいのが、鉄欠乏と甲状腺機能低下の密接な関係です!

甲状腺ホルモンってなぁに?

甲状腺ホルモン基礎代謝(生命活動を円滑に保つための代謝)を担っていて、成長・発達にも重要な役割を持つ、すごーく大事なホルモン!

脳から指令を受けて、のどの前面にある甲状腺で産生されるホルモンです。

そのはたらきが悪くなると、むくみ(体重増加)、便秘、皮膚乾燥、寒がり、薄毛、徐脈、無気力、不妊などの症状があらわれます。

でも実は、甲状腺ホルモンは鉄と深い関わりがあり、鉄欠乏がひどくなることで、甲状腺機能低下症状があらわれることがあるんですね。

鉄欠乏で甲状腺機能低下症状があらわれるワケ

理由がいくつかあり、それぞれが重なり症状が起きてしまいます。

変換酵素がはたらけない

甲状腺ホルモンには、はじめに作られるT4(穏やかな作用)と、T4から変換されて作られるT3(強力な作用)があります。

T4(穏やかな作用)

↓変換

T3(強力な作用)

T3はT4の1/4量しかなく、半減期も短いけれど、T4の10倍の生理活性を持っているので少量で強い効果を発揮します。

体の中では、この2つの甲状腺ホルモンがそれぞれの長所を生かし、良好な代謝バランスを保っているんですね。


そしてこのT4→T3への変換には、セレンや鉄といったミネラルが必要なんです。

セレン欠乏は極めて稀ですが、鉄欠乏はありふれていて、
重度の鉄欠乏がある場合はT3の産生が不十分になるので、甲状腺機能低下症状があらわれやすくなってしまうのです!


ちなみに、甲状腺機能低下症の治療によく用いられているお薬のチラージンSは、合成T4薬。
T3は強力かつ体内での半減期も短く、単独では安定した効果を得にくいため、保険診療のお薬としてはT4が使われています。

ホルモンを受容体に運べない

T3とT4は、ほとんどが蛋白質と結合して血液中を流れていますが、その蛋白質から離れた状態のFree T3(FT3)Free T4(FT4)が、甲状腺ホルモンとしてのはたらきをします。


FT3やFT4は、細胞核内のホルモンレセプター(受容体)に運ばれます。
こうしてダイレクトに核まで運ばれて作用するタイプのホルモンは、生命活動にとって非常に大切!ってことでもあるのね。

そして、この運搬には鉄が関わっています。鉄が少ないと、ホルモンが十分出ていても、ホルモンの活性を発現するためのレセプターへの結合がうまく進みません。

つまり、血液検査でFT3やFT4が低値でなくても、ひどい鉄欠乏があると甲状腺機能低下症状が出現し得るんです。

エネルギー産生工場が動かない

そもそもエネルギー(ATP)を産生するメイン工場は「電子伝達系」。
ここで働く酵素・シトクロームcは、ヘム鉄を含んだ蛋白質なので、鉄が不足していれば電子伝達系がはたらきにくくなります。

シトクロームcの中心に
Fe(鉄)がある

つまり甲状腺ホルモンの中心的な働きである、”代謝”が低下してしまうのです。
”寒がり”や”疲れやすさ”は、この辺りから起こりやすい症状なんですね。

鉄欠乏を治すと甲状腺機能も改善することがある

そんなこんなで私の場合など、鉄欠乏の治療だけで甲状腺機能低下症状もかなり改善しました

体がぽかぽかと温かくなり、代謝があがり、食事も運動も変えていないのに一時は3㎏減。
脚のむくみは鉄補充後ほとんどなくなり、脚やかかとのガサガサも、悩んだ数年が嘘のようにクリーム要らず。そして疲れにくくなったわけです。


その間の数値的な変化はこんな感じ。


サプリだと追いつかない&副作用の便秘が辛かったため、ほとんど注射補充で行っており、ヘモグロビン値もフェリチン値も短期間で良くなっていますが、

ここではFT3の変化にちゅうも~く!

治療前 2.07(やや低値)
 ↓
半年後 2.78↑
 ↓
その1年後 3.30↑↑


この間は、鉄補充以外の治療をしていません。
もちろん甲状腺の治療もです。
鉄の充足だけで、FT3の値が変化しているんですね。

長い時間をかけてさらに上がってきたのは、食生活の改善で他の栄養素も整い、代謝全体がスムーズになってきたから……のようです!

甲状腺機能低下があるなら鉄欠乏も治そう

自然療法や栄養療法を学べば当たり前になるのですが、一般の臨床医は知らないことが多い、甲状腺ホルモンと鉄の関係でした。

甲状腺機能低下で貧血も伴っていたり、チラージンSを飲んでも甲状腺機能低下症状があまり良くならない時は、サプリメントで鉄補充を始めてみましょう!

まずは少なくとも3~6カ月間、サボらずきちんと続けるのがコツ。
また、少しずつでも症状が良くなっているかどうか、しっかり観察しましょう。効果がみられるなら、年単位での補充がオススメですよ。

不安があったり治療に急を要する場合は、栄養療法に詳しいクリニックを受診してみてね✨

MEDICALの最近記事

  1. TAJIの長~~~い育毛戦記

  2. 美容鍼灸フェスタ2019での講演、無事終了!

  3. 鉄欠乏⑥鉄を補充しても鉄欠乏症状がよくならない時には……?

  4. 鉄欠乏⑤鉄欠乏と甲状腺機能低下の深~い関係

  5. 女性は鉄欠乏のケアも忘れずに!『東大医師が教える最強の育毛革命』

こちらもオススメ

MONTHLY